備蓄シリーズ、前回はシーンで分ける話をしました。今回は人で分けるという視点です。
水や食料、明かりといった基本の備えは、家族みんなに共通します。けれど、「この人にはこれがないと困る」という品目は、人によって驚くほど違います。そして、その人専用の必需品ほど、本人以外には気づかれにくい。だからこそ、家族の顔を一人ずつ思い浮かべながら、個別に備えておくことが大切です。
今回は、女性・男性・子供という切り口で、見落とされがちな品目を整理します。
女性の備え|衛生・防犯・心の安定
災害時、女性が直面しやすい困りごとは、平時には想像しにくいものが少なくありません。とくに衛生面と防犯面は、軽視できない現実があります。
- 生理用品:いつ来てもいいように、普段から多めにローリングストック。支援物資では届きにくく、サイズや種類も選べないことが多い。
- 中身が見えないゴミ袋・サニタリーポーチ:避難所など、人目のある環境での処理に。
- デリケートゾーン用の清浄シート:入浴できない期間の衛生を保つ。
- 防犯ブザー・ホイッスル:残念ながら、災害時は性犯罪のリスクも上がるとされます。明かりのない場所での移動に備えを。
- 保湿・スキンケア用品:乾燥や肌荒れは、地味だが大きなストレスになる。
- 髪をまとめるゴム・ヘアキャップ・ドライシャンプー:洗えない期間を快適に。
「自分のことは後回し」になりがちな場面ほど、最低限の備えが心の余裕を守ります。
男性の備え|身だしなみと、持病まわり
男性の場合、共通品以外で見落としがちなのは、身だしなみと持病まわりです。ささいに見えて、清潔感や体調の維持はメンタルにも直結します。
- 髭剃り(カミソリまたは充電式シェーバー)
- 替えの下着・靴下を多めに
- 制汗・全身拭きシート(汗のにおい対策は周囲への配慮にも)
- 持病の常備薬・お薬手帳のコピー(数日分は切らさない)
- マルチツール・作業用手袋(片付けや救助の場面で役立つ)
なお、ここに挙げた品目はあくまで一例です。実際には性別よりも、その人の習慣や体質で決めるのが正解です。髭を剃らない人もいれば、スキンケアが欠かせない男性もいます。リストは「自分仕様」に調整してください。
子供の備え|年齢で変わる、安心の中身
子供の備えは、年齢によって中身が大きく変わります。そして、大人以上に「心の安定」を支える品が重要になります。
◇ 乳児(ミルク・おむつ期)
- 粉ミルクまたは液体ミルク、使い慣れた哺乳瓶
- 紙おむつ・おしりふき(普段より多めに)
- 母子手帳のコピー、抱っこ紐
◇ 幼児〜小学生
- 食べ慣れたお菓子・おやつ:非常時の不安をやわらげる、立派な備えです。
- 子供用の常備薬・体温計
- お気に入りの絵本・小さなおもちゃ:退屈と恐怖を紛らわせ、心を守る。
- 着替え(成長を見越して、少し大きめも混ぜておく)
子供は環境の変化に敏感です。「いつもの味」「いつものおもちゃ」が一つあるだけで、ぐっと落ち着けることがあります。栄養だけでなく、安心も備える。これが子供の備えの肝です。
同じ発想で|高齢者・ペットも
この「人別」の考え方は、そのまま広げられます。高齢者なら常備薬・予備の眼鏡・入れ歯の洗浄剤・大人用おむつ。ペットなら数日分のフード・水・トイレ用品・キャリー。家族の一員それぞれに、専用の備えを。
まとめ|「みんなの分」だけでは足りない
基本の備蓄をそろえても、それは「みんなの最大公約数」にすぎません。本当の安心は、一人ひとりの「これがないと困る」を満たすところにあります。
家族の顔を思い浮かべて、その人専用の小さな備えを一つずつ。次回は「季節で分ける(夏・冬)」を見ていきます。
慌てず、淡々と。それが、heion-baseの平穏の守り方です。


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